JOJO特集その10 「覚悟を決めろ!覚悟は幸福だぞっ!エンポリオ」





ようやく最期の6部特集です。どちらかというと人気が無い感じでJOJO割と好きな人でも読んでない人が多いようです。私自身も最近まで読んでいませんでしたし、私の今のランキングで言うと

4・3・2・5・1・6


ですからまあ、あれなんですが、とはいえそれはJOJO内での優劣であって他の読むと損をする漫画群とは一線を画す訳ですが。


色々聞きまわったところ、JOJO読んでない人ってのは、もう
絵が受け付けない気持ち悪いって人が多かったです。



ああ、ナルホド。
…確かに抜けない受け付けないwww


宇宙を一巡してエルメェス兄貴を女性にしてみました。


<64巻>単行本 著者近影

 JOJO第6部の主人公は女性です。なぜ『女性』なのか? そこの所なのだ問題は。
 JOJOの主人公なのだから顔面にパンチをくらってもヘコたれないタフさが必要だ。時にはドブの中をはいずり回る可能性もあるし、大股開きでビルの上から落っこちるかもしれない。女性にはちょっとキツイ設定だ。
 でもそのギャップが逆に考えてみるとおもしろいかもと思った。しかも聖母マリア様のような大きな人間愛を持つ人。主人公は女性しかないと思った。


6部は分類上女性であると言うだけでこれと言って女性だと言うことに意味は無かったなあと思いましたね。結局なところ腐女子層からも萌えの層からも外れて孤高の道を歩んだわけですが、まあ
エルメェス兄貴カタツムリになってヌメーってしてればそれで万事OKかと思います。


6部はまあ、あちこち突っ込みどころも無いではないですが、ウェザーが空気・水・竜巻・オゾン層を何でも操る万能すぎ!だったり、神父のホワイトスネイクの記憶DISK関係の能力が非常に曖昧だったり、あんまし刑務所に意味は無かったりと。しかしとにかくなによりも、6部はプッチ神父の天国へ行く方法「メイドインヘブン」に尽きるわけですが。

それには作者である荒木先生の人生観とかが重要になってきます。

あちこちのインタビューや巻頭コメントなどから察するしかないのですが

<65巻>

 仕事場の周りの自然観察(そのC)
 昨年、ストレスが原因だと言われたんだけど胃炎になった。その時、ヨーロッパの格言で「トマトを作っている家に胃病はいない」ってのを聞いて、「あ、そう…。そんなら栽培してみっか」という動機でトマトを育てることにした。植木鉢を買い(2300円)、肥料と土(約千円)、添え木(200円)。トマトの苗(140円)、それを3本植えたので合計1万920円。仮に10個できたとしたら1個いくらのトマトだ?(つづく)


一時期やたらとトマトの話ばっかりな時があったりwww

<57巻>

 『自分に似た人』−顔とか姿ではなくて、偉大な人物の伝記とか読んでると「オオ、この人と同じだよ。オレはァァァ」とか感激して、その気になって勇気がわいてきたりする。
 C(クリスチャン)・ディオールという大戦後に活躍した偉大なF(ファッション)D(デザイナー)がいたんですけど、この人、デザインの仕事をしたあと、庭とか花壇とかの土いじりをせずにはいられなかったらしい。「自分と同じだよォ、土いじりは心が落ちつくんだよォォォォッ、ネコのウンコは嫌いだよォォ」そう思った。


ォォッォってwwwやっぱ変わってるよこの人wwwちなみにかなりの猫嫌いだそうです。




あと、もちろん言語センスは荒木漫画の魅力なのですが、意図的に入れてるズキューンとかオラオラとか、素数を数えるんだ!とかも凄いのですが、



荒木先生が地味に良く使う言葉ってのがあって曰く

てめえはマヌケかぁ?


マヌケ あんまりよその漫画では聞かないです。

まさか…そんな…まさかそんなこと!


実に荒木流。なんてこと!ってのもあるあるwww


言葉以外での変な特徴は

質問されることを極端に嫌うwww

賭け事の取り立てに固執するwww


ダービー兄弟、錠前の小林玉美、ジャンケン小僧、取立て人マリリン・マンソンなど同系のスタンド使いが多いことからも、とにかく取立ては厳しい感じ。何か在ったのだろうか?

さて本題。

<79巻>

 マンガ編集者は普通、お昼すぎから出勤する。20数年前、ぼくが原稿を集英社に持ち込んだのは午前中だった。だが、たまたまひとりだけ出勤していて、その人に原稿を見てもらった。彼は『ジョジョ』の初代編集者であり、彼の意見と影響は、あまりにも大きい。午後に行ってれば、きっと違う編集者で、その人の影響を受け、違う作品になっただろう。
 「運命」は偶然ではなく理由がある。『ジョジョ』の中では、この考え方をとる(・・)。科学的には証明できないかもしれないが感覚がそうだ(・・・)と言っているのだから。

<80巻>

 説明するのがムズかしいんだけれど、マンガを描いていると『重力』の存在というモノ(・・)をすごく感じる(唐突ですけど)。
 つまり作者はアイデアだとか、主人公の行動をコントロールしてストーリーを進行させていると世間一般で思われているようだけど、そうじゃあない事が描いている時にあって、主人公が作者の意に反して行動せざるを得ない時とか、絵にも描かざるを得ない絵というのが出てくる。これをぼくは『重力』と感じ、『重力』とは『運命』だと感じるのだ。S・O(ストーンオーシャン)最終巻、これをちょっと思って読んでほしい。


このように荒木先生は運命論的な世界観を持っています。

人の出会いとは「重力」であり出会うべくして出会うものだからだっ!


タモリと赤塚先生 や F先生とA先生 
植草教授と女子高生

を見ると確かにそーゆーのは在るのかもしれない。

ただ世間一般に運命は切り開くものであるとされているので、全て決まっているって言う運命論には非常に抵抗感があるかと思います。
そういえばサインっていうシャマラン映画もあったな。やっぱりヒットはしませんでしたが。

その運命論のテーマを発展させたのがまんまプッチ神父のスタンド能力。DIOの言う天国へ行く方法です。


ではそのメイドインヘブンの能力とは

宇宙を一巡させる。生き物はその体験を無意識で覚えていて未来を知っている。よって覚悟を持って生きることが出来ると言う。




一巡するといっても、まずビックバン(大拡散)とビッククランチ(大収縮)の繰り返しと言う宇宙論が前提なんですが、そのビッククランチ中ってのも時間は戻っているのではなく進んでいるのですから時間は円ではなく終わりの無い長い無限の直線では…?
その場合、プッチ神父を倒してももはや関係なく



この不細工ジョースター一族の続きの世界になるわけですがwww

でもまあ特異点で何が起きたか書いてないので分からないので、詳細はともかく漫画どおり時間は円なんだというのを前提としても、プッチ神父がエンポリオに殺されると言うのは、いわゆる
「親殺し(自分殺し)のパラドックス」になってしまいます。過去に戻って自分を殺すと、その瞬間から現在の自分の存在は消えてしまう。じゃあ殺したのは誰?っていうパラドックスのこと。この場合だと過去に戻ってプッチ神父殺しちゃったからエンポリオは過去にいけなくなる。そうなるとプッチ神父は?
この場合、通常は
だからタイムリープは在り得ないとするか、その瞬間から別のパラレルワールドが誕生するという解釈があります。荒木版は後者。これが新新宇宙。

(余談ですが矛盾ってのはただの間違い(不成立)で、パラドックスは大抵は前提か定義が曖昧なためにおきます、つまり日本語の問題。そういえば緑色の赤ちゃんはゼノンのパラドックス(アキレスと亀)でしたが、この場合はアキレスは亀を抜けるかと言う問題が、距離と時間は何処まで分割出来るかという問題にすりかえられてしまっています。)


そう、ただでさえ運命論でややこしいというのに、更にパラドックスも扱っているのだwww


こんなのジャンプ連載形式で分かるわけねーwww


単行本でよかった…でも何度も読んだよ。

あとメイドインヘブンには重要な点がもうひとつあって
スタンドを使っている本人の神父だけは運命に縛られていないと言う点です。

疑問に思いませんでしたか?一度メイドインヘブンは発動してるんだから決定していて、次も必ず発動するのでは?て風に。



このように神父だけは運命に縛られていないんです。


ですから逃げ切る運命に決定しているエンポリオを殺すことが出来るし。
エンポリオにウェザーのDISKを押し込んでしまって負ける運命に変えることが出来るんですね。
まあこれは故意じゃなくってむしろエンポリオにしてやられたんですが…。


もう一度繰り返しますが

宇宙を一巡させる。生き物はその体験を無意識で覚えていて未来を知っている。よって覚悟を持って生きることが出来ると言う。

この荒木先生の言う絶望を吹き飛ばす覚悟はなんとなく黒澤明の「生きる」に通じるような内容です。そっちは冒頭で胃がんを告知される役人の話。

確かに一理ある。それ自体は正しいとも悪とも言えない能力です。別に宗教漫画ではないし答えなんかあるわけ無いのでそれは構わないのですが。

で、荒木先生は運命論者なので
敵であるプッチ神父の能力を肯定していると。すると生き残ったエンポリオには、この新宇宙を否定する理由が無いんです。
ですからプッチ神父を最期に倒したのは私怨といいますか仇討ちと言いますか。

結果プッチ神父は倒したものの、
バッドエンドとしか取れない終わり方になっています。

エンポリオ以外は全員死亡。メイドインヘブンによる未来体験も覚悟も無い新新宇宙に固定。
確かに新新宇宙では新徐倫(アイリン)はどうやら囚人ではなく結婚も出来そうだし、エルメェスさんの姉も生きているようで前の宇宙より良さそうではありますが…。


このメイドインヘブンってのは簡単に表現するなら

一本道RPGのイメージです。

一巡した宇宙ってのはクリアして知ってるゲームをもう一度やると言うこと。細かいところは変わるけどゲームのシナリオなのでイベントで死ぬやつはいつも死ぬ。内容を知っててもイベントは飛ばしては進めない。結局は同じ運命の繰り返し。プレイヤーはそれを承知で楽しむという感じ。イベントで死ぬと分かっていてもLV上げますよね?それがメイドインヘブンのいう覚悟!
そしてこのゲーム論で見ると6部のラストシーンは、徐倫たちは新新宇宙で
幸せかも知れんけどプレイヤーキャラからNPCに変わっちゃってる。言い換えると主人公が脇役に変わってる。

こんなの漫画史上前代未聞だよ。


               . -―- .      やったッ!! さすが>>荒木先生!
             /       ヽ
          //         ',      おれたちにできない最終回を
            | { _____  |        平然とやってのけるッ!
        (⌒ヽ7´        ``ヒニ¨ヽ
        ヽ、..二二二二二二二. -r‐''′     そこにシビれる!
        /´ 〉'">、、,,.ィ二¨' {.  ヽ     _ _      あこがれるゥ!
         `r、| ゙._(9,)Y´_(9_l′ )  (  , -'′ `¨¨´ ̄`ヽ、
         {(,| `'''7、,. 、 ⌒  |/ニY {               \
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JOJO特集−−−−−−−−−− 終了 −−−−−−−−−−−


7部SBRは読んでませんwww完結したら買うと思います。いつか特集再開するかもしれませんね。